土の中に含まれている塩基(石灰、苦土、カリ、ナトリウムなど、交換性陽イオン)の比率。とりわけ石灰、苦土、カリの三つの成分の比率が重要とされる。これらの成分の間には拮抗関係があり、その比率が崩れると、土の中にはそれぞれの塩基が十分含まれていても作物には吸収されにくくなる。一般的には、石灰:苦土:カリが当量比で五:二:一がよいとされている。
ただ、生長が速く呼吸量も多くなる夏場は、細胞間をがっちりとくっつけるために石灰の割合をふやし、呼吸量を抑えるよう設計するとよい。また5:2:1はあくまで目安で、適正範囲には幅がある(石灰/苦土比、苦土/カリ比ともに2~6)。
塩基バランスが整うと、肥料の吸収だけでなく微生物も活発に活動し始める。なお、施肥設計を行なう際には、塩基バランスと同時に塩基飽和度が80%になるようにするとよい。
苦土の積極施肥は、塩基飽和度100%を超える過剰状態でも相対的に不足している苦土を施用するという、塩基バランスを最優先したやり方。バランスをとることで作物の活力が高まり、土に貯まった石灰やリン酸が動きだす。
土壌のエネルギーを高めると肥料バランスが多少合わなくても、植物自身が必要に応じて吸収します。